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人民中国雑誌社との懇談会

人民中国雑誌社との懇談会に参加した。

懇談会テーマは「人民中国、生き残るためにどうすべきか」だったので、下記のレポートを作成して提案した。先方は社長、編集長であった。

0、日時:2001年6月17日

まとめ

「人民中国」を日本で販売強化するには次の3つが必要である。第1に大書店の店頭で「人民中国」が陳列され一般の人が買う事ができる状態をつくる。第2に「人民中国」を読者に知ってもらうための宣伝方法を抜本的に改革する。第3に話題性のある記事を毎号載せつづける。総じて、「人民中国」の編集部・営業部が流通・販売の現場に出向き、自分のつくった雑誌がどのように取り扱われているかの正確な調査と分析が必要である。その作業を通して基本的な改善ポイントが発見できる。現場に問題解決の情報がある。

1、概観

「人民中国」の出版の歴史は長い。1956年に創刊して以来45年に達しており30歳で読み始めた人はすでに75歳になっている。おそらく「人民中国」は、中国に関心ある日本人に向けて「生の中国」を情報発信してきたに違いない。日本では45年間生きつづけている雑誌は少ない。更に、リニュアルなしで発行し続けた雑誌はまれである。「人民中国」は45年間持ちこたえた実績がある訳で、固定的な読者に支えられたという熱烈なファンへの感謝無しには今はありえない。同時に、時代は変化した。変化の最大は日本と中国は友好関係を築き、日本人は中国に対する関心が高まったことである。中国人も留学生をはじめ多くの人が来日しており、人間同士の交流が深まっている。「人民中国」を日本で販売する環境は従来に増してプラスであり、今まで中国に無関心であった層、若い層に支持される可能性が日本にはある。その切り口は“情報”と“文化”であり、ファッション、音楽、映画、食べ物、街など若者の同時代的な共感をはかることである。しかし、まだ多くの日本人は自分のライフスタイルの中に中国を見出しえない現実にも直視しなければならない。それは例えば、中国語という言語が日中交流には大切なものと誰もが思いながらも実際には中国語を習得することに時間と金をかけない事実に見出される。中国語を勉強しようという人は何十万人といる。しかし、中国語を習得しようという人は1%に満たない。中国の情報を日本語で知りたい。しかし「人民中国」を買おうとするものは少ない。

2、人民中国の今までの位置と実績

私は、「人民中国」2001年4月号を初めて購入した。それまで私の視野に「人民中国」はなかった。

3、 現在の方針 (2001年4月号を見て)

1)性格づけ:総合的な文化情報誌

2)体裁:A4変形、82ページ+表紙、フルカラー、定価400円、 ISSN0449-0312、雑誌コード05115-4、バーコードあり

3)出版:人民中国雑誌社、発売元:中国国際図書総公司、発行所:東方書店

4)編集:特集と連載と単発記事を組み合わせて、記事への入り方の多元性を重視特集2本、単発記事6本、連載9本、情報:7本   キーワード:地域紹介、政策実行事例、人、文化、日中、寺、遺跡、漢詩、法律、人、エッセイ、街、芸術、技術、工場、家庭、語学、観光、音楽、日本、  (HP:国内トピックス、今月の顔、特集、中日関係、法律、社会、文化・芸術、歴史・考古・地誌、観光、読者のページ)

5)製作:中国の印刷所

6)実数:制作部数、配本部数(取次、直送、組織ルート)、実売と返品(これらは掴めず)

7)宣伝:一般宣伝より中国の関心者が読む「中国関係の冊子」(版元のPR誌など)を通して

8)流通:全国の書店ルートより「定期予約購読中心」

9)販売:販売というより「普及」

4、評価

「人民中国」リニュアル版は編集上で工夫がされているものの、日本の宣伝体系、流通機構にのった営業政策が不十分である。・実数:制作部数、配本部数(取次、直送、組織ルート)、実売と返品・宣伝:中国関係の冊子(版元のPR誌など)でタイトルを見る程度で、直接、中国に関心ある人以外、「人民中国」を知る機会がない。・流通:ほとんど日本の流通機構にのっていない。(東販、日販など)・販売:書店で買う事ができない状態。売れるわけがない。

5、結論

雑誌発行にあたっては、出版(情報収集から製作まで)~流通(出版社と書店の間の流通)~販売(書店陳列と予約活動)が総合的に循環しなければならない。しかし、現在の「人民中国」は出版については改善が見られるが、流通・販売は従来と変わらず、そのギャップがリニュアル効果を発揮できない要因になっている。

6、付録

○事例「K書店のこと」「発売元のこと」「棚のジャンルのこと」「文体のこと」
by xiyuannei | 2001-06-18 06:00 | 読書は他者の経験の共有
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