6月24日、世界保健機構(WHO)は新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)による北京への渡航延期勧告と流行地域の指定を解除すると発表した。23日にはすでに香港も解除されている。渡航延期勧告解除は約2カ月ぶり、流行指定地域解除も4月11日以来だ。あとは台湾とトロントの2カ所のみだが早く解除されるようになることを望みたい。
このSARSは現象的には突然やってきた。その被害は中国で見ると、累計患者数は5326人、死者は347人。北京では2521人が感染し191人が死亡している。 昨日、北京に住んでいる友人から喜びのメールが来た。日本に帰国「しそこなって」、北京で不安と戦いながらも無事過ごしてきた解放感が現れていた。天津にいる友人もきっとほっとしているに違いない。彼は、ここに踏みとどまって勉強と生活を続けるんだとメール、電話で言っていた。彼女の「さあ、北京に遊びに来てください」とあったそのメールは意味が重い。日本の外務省も24日、北京に出していた「渡航の是非を検討」という危険情報を解除した。僕の所属する会社も公的な出張は禁止、個人の場合も自粛するように言われていた。これで北京行きがまた可能になったわけだ。 中国はこれを機会に体質を改めることが問われた出来事であった。それは情報問題であり、衛生問題であり、また人権問題である。今後、多くの識者により中国のこの問題に対する総括がなされるであろう。それを乗り越えて今後このような問題が発生しても最小限で抑えられる国際社会の中での中国の責任が問われる。 21世は中国の世紀と言われている。当面するところをみても2008年の北京でのオリンピック、2010年の上海の万博がある。国際政治地図の改変の中で中国の果たす役割、位置も大きい。 胡錦濤は実に頑張った。マスクもせずにあちこちに出むき握手を交わしながら、「勝利」にむけたメッセージと実行体制を送り続けた。この2カ月みてきた中国のインターネットでは、来る日も来る日もSARS情報が流れ、中国一丸となってSARSと戦ってきている様が流れてきた。きっと、国民の胡政権に対する信頼と一体感は以前より増して強いものになってきているに違いない。 歴史とは不思議なものだ。中国では新しい時代の幕開けがはじまろうとしている。 しかし、まずは心から、「よかった」と言いたい。
by xiyuannei
| 2003-06-25 07:13
| 日中の雑感あれこれ
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