BOOK・OFFで10冊ほど文庫・単行本を買ってきた。
60坪くらいあるお店の棚を全部見て周り、その日の問題意識にあった本を買ってくる。もとより古本で限られた本しか置いていないので、品揃えの幅は狭い。しかし、安く本を買えるのが嬉しい。 この日は中国人の書いた日本語翻訳の小説を探したがあまりない、数冊だけだった。その一冊に「花の影」があった。著者は陳凱歌、訳は葉青で、表紙にはレスリーチェンとコンリーの顔写真が載っている。 読んでみてびっくりした。すごく文章がわかりやすい。歯切れがいい。情景のあらわし方、会話の展開も面白い。これが映画監督である陳凱歌の小説ならば彼はすごい文章力のある作家だと思った。また、当然原作は中文であろうが、日本語訳が上手だ。よくこれだけ、的確な語彙(と思って読んだが)を使っているな、と感心してしまう。 一気に陳凱歌に対する関心が湧いてしまった。調べてみると「黄色い大地」1984、「大閲兵」1986、「子供たちの王様」1987、「人生は琴の弦のように」1991、「さらばわが愛/覇王別姫」1993、「花の影」1996、「始皇帝暗殺」1999、「キリング・ミー・ソフトリー」2001などの作品があることがわかった。 しかし、この本の結末は物悲しい。日本人の書く作品とちがう。それは当時(1920年代)の中国の現実かもしれないが、このような終わり方で作品を締めくくるのは歴史を観る目が非常にクールだからなのだろうか。
by xiyuannei
| 2003-07-12 06:46
| 読書は他者の経験の共有
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